有機ELディスプレイ(OLED)
OLEDの特長
有機EL(OLED)は、薄型軽量、低消費電力、コントラストや応答性に優れた次世代型ディスプレイです。
ここではOLEDの一般的な特長や、他のディスプレイと比較したときのメリット・デメリットを詳しくご紹介いたします。
OLEDの一般的な特長
すべての人に使いやすい、薄くて軽いディスプレイ
現在主流の液晶ディスプレイ(LCD)は、光源となるLEDバックライトを背面に設置する必要があります。
しかし有機EL(OLED)は自発光型ディスプレイのため、液晶層やLEDバックライトを必要とせず、厚みは一般的なLCDの半分以下、重量も半分程度になります。
このように、OLEDはLCDよりも薄型・軽量なディスプレイのため、持ち運んだり長時間使用する製品や、お子様が使用する製品への搭載にも適しています。
表. 液晶ディスプレイ(LCD)と有機ELディスプレイ(OLED)の厚みと重量の比較
厚み | 重さ* | |
---|---|---|
一般的な液晶ディスプレイ | 5〜15mm 程度 | 約37g |
弊社OLED | 0.9〜2.5mm 程度 | 約19g |
* 3.5inchモノクロディスプレイの場合
![](https://d21xsz2za2b5mz.cloudfront.net/thumbnails/small/3816/3938/8461/oled_feature_img_01.png)
低消費電力で環境負荷を軽減
液晶ディスプレイ(TFT-LCD)は、点灯時にLEDバックライトをすべて点灯させ、その光を液晶分子で遮ったり、通過させたりして、画像や映像を表示させます。
一方、有機EL(OLED)は自発光素子で構成されており、必要な画素だけを発光させて映像を表示します。そのため、文字表示など白く光らせる画素が少ない(点灯率が低い)画像や映像では、TFT-LCよりもOLEDの方が消費電力が少なくなります。
下図はTFT-LCDとOLEDの消費電力を比較したグラフです。点灯率40%以下では、OLEDのほうが消費電力が少ないことがわかります。
このように、OLEDを採用することで、製品のバッテリーを長持ちさせることはもちろん、省エネやSDGsにも貢献できます。
![](https://d21xsz2za2b5mz.cloudfront.net/thumbnails/small/3016/4058/9042/oled_feature_img_02.png)
高コントラストでくっきり見やすい
![](https://d21xsz2za2b5mz.cloudfront.net/thumbnails/small/9216/3938/8464/oled_feature_img_03.png)
液晶ディスプレイ(TFT-LCD)で黒色を含む画像や映像を表示する際、液晶層はバックライトの光を100%遮ることができず、黒色の部分もわずかに発光してしまいます。(左図)
これに対し、有機EL(OLED)は黒い部分の画素が発光しないため、TFT-LCDよりも暗い黒色を表現でき、コントラスト比が高い、鮮明で見やすい表示になります。(右図)
ホームシアターや車内インテリアなど、夜間や暗いところで使用する製品には、自発光ディスプレイが適しています。
どこから見ても綺麗に見える、広視野角
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液晶ディスプレイ(TFT-LCD)は光源となるLEDバックライトが液晶層の奥にあるため、斜めから見ると光が遮られ、輝度やコントラスト比が低下したり、色度が変化します。
しかし、有機EL(OLED)は自発光・薄型構造のため視野角が広く、どこから見ても文字や画像を鮮明に視認することができます。
車の運転席に座り、センタークラスターにあるエアコンやオーディオを見る、といったディスプレイを斜めから見る場所には、TFT-LCDよりもOLEDが適しています。
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100倍も速い応答速度、低温環境にも強い
有機EL(OLED)の応答時間は液晶ディスプレイ(TFT-LCD)の約1/100で、0.05m秒以下と超高速です。
TFT-LCDは電圧のオンオフによって液晶分子の配向(向き)を変えて色や明るさを変化させますが、OLEDは電流を変えると瞬時に輝度が変わるため、TFT-LCDよりも応答速度が早くなります。
OLEDは動きが早い映像でも残像が発生せず、綺麗でシャープな見栄えになります。
また、液晶は液体の性質を持っているため、0℃以下の低温環境では回転粘性が高くなり、応答性が悪化し、正常な表示ができない問題が発生します。
OLEDは-40℃の低温環境下でも応答性が変化せず、過酷な環境でもお使い頂けます。
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他のディスプレイとの比較
有機EL(OLED)・液晶ディスプレイ(TFT-LCD)の他にも、ディスプレイには様々な種類があり、それぞれ違うメリット・デメリットを持っています。
ここでは、有機EL(OLED)の特長について、液晶ディスプレイ(TFT-LCD)、マイクロLED(mLED)、電子ペーパー(e-Paper)との比較を行い、解説していきます。
有機ELディスプレイ (PM-OLED) |
液晶ディスプレイ (TFT-LCD) |
マイクロLED (mLED) |
電子ペーパー (e-Paper) |
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表示の 綺麗さ |
精細度 | ○ ~250ppi |
○ ~300ppi |
○ ~250ppi |
○ ~300ppi |
輝度 | ○ ~300cd/m2 |
○ 200~500cd/m2 |
〇 OLED,LCDよりも良い |
× 非発光 暗所では見えない |
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コントラスト | ○ 自発光 |
△ バックライト |
○ 自発光 |
△ 外光反射 |
|
視野角 | ○ ~160° |
△ ~120° |
○ ~160° |
○ ~180° |
|
応答速度 | ○ 数十~100µ秒 |
△ 数ms~10数ms |
〇 OLEDと同等 |
× 100m秒 以上 |
|
信頼性 | 寿命 | △ 10,000hr 程度 |
○ 20,000hr 程度 |
○ 20,000hr 程度 |
○ 20,000hr 以上 |
動作温度 | ○ | △ 低温環境下で 応答速度低下 |
○ | △ 低温環境下で 応答速度低下 |
|
省電力 | 消費電力 | △ | × | △ | ○ |
省スペース 小型化 |
厚み | △ 0.9~2.5mm 程度 |
× 5~15mm 程度 |
◯ 0.7mm 程度 |
◯ 0.3~0.7mm 程度 |
量産対応 | 量産性 | ○ | ○ | × | ◯ |
コスト | △ | △ | × | △ |
※2inch程度、カラー製品、点灯率30%を想定
表示の綺麗さ
![](https://d21xsz2za2b5mz.cloudfront.net/5916/3938/8470/oled_feature_img_07.jpg)
精細度は、いずれのディスプレイも250~300ppiの高精細化が可能であり、大きな差異はありません。
OLED・TFT-LCDの輝度は200~300cd/m2とほぼ同等で、mLEDはさらに高輝度化が可能と言われています。
OLEDとmLEDは自発光型ディスプレイのため、バックライトの光を遮って黒を表現するTFT-LCDよりもコントラスト比が高く、より暗い黒色を表示できます。
また、TFT-LCDは視野角が狭く、左右や上下の斜めから見ると輝度が低下したり色度が変化しますが、自発光型のOLEDとmLEDの視野角は160°以上と広く、どこから見ても美しい表示になります。
OLED・mLEDの応答速度はTFT-LCDの1/100以下と非常に速く、画像をすばやく変化させても残像が発生しません。
E-Paperは一般的に応答速度がミリ秒台で最も遅いため、静止画を表示させるブックリーダーなどの用途に限られます。
以上の結果から、OLEDは表示の美しさ、見栄えにおいて、非常に優れたディスプレイといえます。
寿命
有機EL(OLED)や液晶ディスプレイ(LCD)は長時間使用していると発光効率が下がり、徐々に輝度が下がっていきます。
一般的に、OLEDの寿命は短いと言われていますが、下図のように実際の寿命(輝度半減期)は10,000hr以上あり、1日の使用時間を2~3時間と仮定すると、10年以上の寿命があるといえます。
10年よりも長い年数、メンテナンスや部品交換を行わず稼働し続ける一部の製品を除き、OLEDは多くの製品に問題なくお使い頂けます。
しかし、TFT-LCDがOLEDよりも長寿命であることは事実で、TFT-LCDの大きなメリットのひとつです。
OLEDよりも長寿命のディスプレイをお求めの場合は、弊社のLCDモジュールもご検討頂けると幸いです。
![](https://d21xsz2za2b5mz.cloudfront.net/thumbnails/small/7516/3938/8471/oled_feature_img_08.png)
省スペース・小型化
一般的なTFT-LCDは5~15mm程度、mLEDとE-Paperは0.7mm程度の厚みがあります。
OLEDの厚みは0.9~2.5mm程度とTFT-LCDよりも格段に薄く、製品の小型化や省スペース化が可能です。重さも軽いため、小型化・薄型化・軽量化したい製品や、身に着けたり持ち運びする製品にはOLEDが適しているといえます。
量産
![](https://d21xsz2za2b5mz.cloudfront.net/1716/3938/8459/oled_feature_img_10.jpg)
TFT-LCD、OLED、E-Paperは多くの企業で量産されており、低コストで調達しやすくなっています。
一方、mLEDは以下の課題を抱えています。
- 一般的なワイヤボンディングではなくフリップチップボンディングが必要
- 多数のLEDを精度よく、高速で実装するプロセスが確立されていない
このような課題によってコストが肥大化し、大量生産が難しいのが現状です。
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