有機ELディスプレイ(OLED)

OLEDとは?

このページでは、次世代型のディスプレイとして注目される有機EL(OLED)とはどのようなディスプレイなのか、構造・原理・駆動方式・カラー化の方法などをご紹介いたします。

基本構造

有機EL(OLED)はガラスやフィルム基板の上にカラーフィルター・発光層・保護膜・素子分離を形成し、乾燥剤を入れ、ステンレス(SUS)やガラス製の封止板で密閉した構造をしています。
発光層は電子輸送層・発光層・ホール(正孔)輸送層の積層構造となっており、発光層を電極で挟み電圧をかけることで有機ELが発光します。

発光原理

有機EL(OLED)の電極に電圧を印加すると、陰極から電子、陽極から正孔が注入されます。
電子と正孔が発光層で再結合すると、有機分子が励起状態というエネルギーが高い状態に変化します。

励起状態は一重項励起状態と三重項励起状態の2種類があり、1:3の割合で発生します。
励起状態から基底状態に戻る際、熱や発光として過剰なエネルギーが放出されます。
この時、一重励起状態の分子から放出される光は蛍光、三重励起状態の分子から放出される光は燐光と呼ばれます。
燐光材料は発光効率に優れていますが、コストや寿命は蛍光材料に劣るため、一般的に有機ELディスプレイ(OLED)には蛍光材料が使用されています。

駆動方式(PMOLED・AMOLED・セグメント)

有機EL(OLED)は、ドットマトリクス方式・セグメント方式の2つの方式があり、ドットマトリクス方式はパッシブマトリクスOLED(PMOLED)とアクティブマトリクスOLED(AMOLED)に分類されます。
ここではそれぞれの駆動方式についてご紹介します。

パッシブマトリクスOLED(PMOLED)・アクティブマトリクスOLED(AMOLED)

ドットマトリクスOLEDは電極がX軸・Y軸方向に格子状に並べられ、その交点に画素が配置されています。
パッシブマトリクスOLED(PMOLED)は、X軸・Y軸の両方を通電させることにより、その交点にある素子を点灯させます。
アクティブマトリクスOLED(AMOLED)も、PMOLEDと同様に両軸が通電している画素を点灯させますが、各画素にはトランジスタによるスイッチと電力を貯めるコンデンサが接続されており、X軸の電圧でスイッチのオンオフを制御します。

PMOLEDとAMOLEDを比較すると、それぞれ以下のような特長があります。

■パッシブマトリクスOLED(PMOLED)
  • シンプルな構造で低コスト
  • 時分割のダイナミック駆動(線順次駆動)のため、AMOLEDよりも高い電圧が必要
  • 大画面になるとデューティ比(各1画素に電圧を加える時間)が短くなり、輝度が落ちる
⇒小~中型のディスプレイを低コストで製造できる
■アクティブマトリクスOLED(AMOLED)
  • 各画素に半導体素子を形成するため、回路や製造工程が複雑化し、コストが高くなる
  • スイッチにより電流の漏れ(クロストーク)を防ぐことができる
  • コンデンサの蓄電により電圧がすぐに下がらないため、デューティ比が短くなっても輝度を維持できる
⇒高コストだが、中~大型のディスプレイの製造に適している

このような違いから、一般的に4inchよりも小さいサイズはPMOLED、それよりも大きいサイズはAMOLEDが適しています。

セグメントOLED

ドットマトリクスOLEDは、小さい四角形の素子が格子状に並んでいますが、セグメントOLEDの素子は表示する絵やアイコンの形に形成されています。
ドットマトリクス方式に比べ、表示できる文字や絵の種類は制限されてしまいますが、曲線のある絵やアイコンを滑らかに表現できる利点があります。

また、セグメントごとにアノード端子が分かれており、ダイナミック駆動(線順次駆動)ではなくスタティック駆動でオンオフを制御します。
スタティック駆動では常に一定の電流が流れており、デューティ比(各1画素に電圧を加える時間)が短くなることがないため、ドットマトリクス方式よりも輝度を高くすることができます。

何種類かのパターンを美しく、高輝度で表示したい場合には、セグメントOLEDが適しています。

カラー化技術(RGB塗り分け方式・カラーフィルター方式)

有機EL(OLED)のカラー化には、カラーフィルター方式とRGB塗り分け方式(RGB蒸着方式)の2つの方法があります。ここでは各方式の構造の違いや、メリット・デメリットをご紹介します。

RGB塗り分け方式

RGB塗り分け方式の有機EL(OLED)は、赤色・緑色・青色の3種類の発光材料を蒸着して製造します。
塗り分け方式は発光効率や寿命などの特性が異なる3種類の材料を使用しているため、生産工数の増加や色度の経年変化が早いという課題があります。しかし、後述するカラーフィルター方式と異なり輝度が減衰しないため、発光効率が良く、高輝度で発光させることができます。

カラーフィルター方式

カラーフィルター方式では、白色の発光材料または複数の発光材料を使って白色光を取り出し、カラーフィルターを通過させることで赤色・緑色・青色に変化させます。
この際、輝度が約半分に減衰してしまうため、RGB塗り分け方式に比べ発光効率は低下しますが、経年劣化による色度変化が小さく、RGB塗り分け方式よりも長い期間、鮮明なカラー表示を維持することができます。弊社のカラー有機EL(OLED)は、お客様に安心してお使い頂くために、長寿命が特長のカラーフィルター方式で製造しています。

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